ツェッペリンとコロナとグランプリ

 

 ブレードランナーの新作が公開されるらしい。オリジナルの筋なんて相変わらずほぼ覚えていないに等しい俺なのだけれど、美しいまでのカオスとありえそうでなさそうなギリギリのリアリティ、そんな映像にそもそもSF好きの俺はワクワクしたものである。ちなみにこれ以降、原作者のP・K・ディックの小説もこれの原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を含め何冊か読んだっけ。あの頃、本屋に入ると必ずハヤカワ文庫のコーナーをチェックしていたなあ、そう言えば。


 ブレードランナーにそんなものが登場したかどうかよくは覚えていないが、そういう近未来の合理的なんだかそうでないんだか、よく分からない不思議な乗り物に俺は惹かれる。例えば、金属製でプロペラのついた飛行船のような、決して速いとは思えない前時代的だけれど硬質な乗り物、Catavento(カタヴェント)のプロトタイプを作った当初、即座にイメージしたのはそんなミステリアスな代物で、それがとても気に入ったのだった。

 

 

 そんなわけでこのカラーパターンはZeppelin(ツェッペリン)と名付ける。あのジャケットに写る飛行船とは少々違うのだけれど、そんなことはいいのである。なんだかどこかにふわふわと漂って飛んで行きそうではないか。

 

 

 さてと、ブレードランナーほどは話題にはなっていないと思うけど、DVD「ヒダリテコロナ3」Trailerが公開された。このシリーズはうちのDVD「Fishing Safari」シリーズで俺が思い描いた、フィッシング&ミュージック・ロードムービーのコンセプトをそのまま体現していて、俺はシンパシーとジェラシーを感じるのである。これってコロナでなければ描けない世界だとも思う。

 

 シリーズ3本目の本作には、実は俺も末席に登場させていただいております。拙いギターや、そして恥ずかしながら決して上手いとは言えない歌も登場するよう。本編は俺もまだ観ていないので楽しみにしているところ。リリースは9/23だそう。

 

 

 もう一つお知らせ。去年は開催出来ず、ファンからの要望がちょいちょいあるフォト・グランプリを、少し違う形で開催することにした。いつものユーザーズ・ギャラリーがそのまんまその舞台となる。期間は年間を通して。

 

 以前から津波ルアーズに普段から釣果他で貢献してくれた人たちに、年末か年始に何か差し上げようと思ってはいたので、今回遂に重い腰を上げたということ。そんなわけで、今年の1/1から現在までに既にいただいた投稿もその対象にすることにした。

 

 

 今のところ大物賞の1位はカミオカの59.5cmで文句ないと思う。これを抜き去るのは至難の技かとは思うけれど、もちろん不可能ではないし、準グランプリも、それに何より貢献度を評価する特別賞もあるので、いつもの釣りのプラスαの楽しみとなれば幸い。

 

 詳しいレギュレーションこちらで。なお、こういう賞ですから、その都度臨機応変にレギュレーションや賞の種類に独断と偏見で変更があることをどうかご了承下さい。

 

 

 今日はブログを更新しつつ、遅れてしまったCataventoのフライヤーを作成しつつ、届いたばかりのビル・エヴァンズを聴く。亡くなって37年の月日が流れようとしている今も未発表音源が発表されるのは、彼の演奏が決してポップスターほど多くはないにしても、強く人々に求められている証拠だろうと思う。

 

 それにしても、ほぼ半世紀も前にもかかわらずなんて綺麗な録音だろう。その流麗な演奏にふさわしい。ジャズの録音て、どうしてこう時代を感じさせない生々しいものが多いのか。これまで発表されなかったのが不思議。

 

 かの村上春樹先生によると、なんとコルトレーンとウェスの共演の事実も確かあるのだとか。そういう録音が残っているのなら、何をおいても聴いてみたいものだ。

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Tsunami Cup

 

 ハードスケジュールの週末に疲れはなかったとは言はないが、体調にそれほど問題はなかったし、とても楽しく過ごした三日間だった。

 

 

 まずはハトリーズも撮影したあの山奥のリザーバーをレスイズモア・高橋とそれから岐阜からやって来たお客さん二人とで数年ぶりに訪れる。のんびりお昼からの出船だったものの、いくらか魚の顔を拝めたのは上出来。遠路はるばるやって来た河尻くんの48cmはお見事。ちなみにルアーはT字路sスペシャルである。ここの場合、それにも増して我々を癒す雰囲気抜群のロケーションが素晴らしい。ちょっと無理して足を伸ばした甲斐があったというもの。

 

 夜は久しぶりに再会する徳島の連中と岐阜の二人を交えて飯。魚を食いたいとの俺のリクエストでワイルドフィッシュ・なべちゃんがチョイスしたのは、徳島なのになぜか「江戸」という割烹料理屋さん。あとで判明したのだけれどオーナーの名前が「江戸」なのだそう。トロいわしの塩焼きが衝撃的に旨くて、俺だけ2尾いただく。高橋は最後の最後に一人卵ご飯を掻き込むという暴挙。うまそうだったけど。

 

 

 そして日曜日は2年ぶりの津波カップ。優勝は河尻くんとペアで岐阜からやって来た山ピン(この旅で彼のことをこう呼ぶことにした。理由は面倒なので割愛)。プライベートでゴタゴタ続きの彼だけれど、悪い事ばかりじゃないってことだ。ほんとに良かったと俺は思う。前の日の最大魚は河尻くんだったから、岐阜の二人の成績は褒められていいだろう。

 

 

 あとの釣果はと言うと、レスイズモア・ファンの市橋くん、それから太田隊長、太田隊長率いる山中くんの4尾のみとは、なかなか厳しい結果ではあるけれど、それだけに1尾の価値はプレミアものではある。

 

 

 手前味噌ながら、俺も末席を汚す1尾をいただく。小さい魚とは言え、旧吉の復調を肌で感じた1尾だった。他にもいくらか型のいい魚を目視出来たし、ウィードもどうやら少しづつ復活しているようだったしね。

 

 

 ちなみにルアーはと言うと、前日のリザーバーでも2尾をもたらした、Comsoのリップを少し短くしたプロトタイプ。仮にミノーイングモデルとでも名付けようか。リップが短い分、トウィッチするとサブサーフェイスを軽快にダートさせることが出来る。プロップもブレードも付かない地味なプラグと言えばそうなのだけれど、思った通りリザーバー、そして川でこれが効いた。リリースはそう遠くないと思っている。

 

 

 同船した千代田くんは、スピナーベイトというバンドが縁で知り合った人。彼の奥さんはそのスピナーベイトのメンバーだった人。彼らは故あって震災を契機に千葉から徳島に家族で移住したのだそう。何年ぶりかの再会が俺の故郷とはこれはもう何かの縁でしかない。俺もUターンを考えていることもあって、その辺の事情を根掘り葉掘り。彼らの移住先の神山町には、例えばどうやらヒッピーが生息していたり、家賃が異常にやすかったりと、聞けば聞くほどユニークな土地柄である。

 

 

 大会の後は大会のケイタリングに来てくれたジーニョ夫妻と高橋とその神山町でキャンプ。神の山だけあって、文字通り神秘的な空気がへとへとの我々を癒す。こんなに疲れているのにキャンプなんて無謀だったか・・・と、おそらく全員が当初は後悔したはずなのに、いざサイトを設営してコールマンに火を灯し、ギターで遊んで、フユミちゃんが手早く作る料理を口にして、うだうだとしゃべっているうち、酒を飲まない俺だって気持ちよくなってしまった。飲むと饒舌な高橋がギターよりうるさかったのはご愛嬌。就寝前には全員で寝そべって少しだけ欠けた月を天空に拝む。キャンプっていいですね。

 

 朝はわざわざ大会の会場に来てくれた千代田・奥さんがくれた、彼女自身が営む豆ちよのコーヒーをいただく。コーヒーを淹れるのはキャンプでの唯一の俺の担当なのに、濾す道具を忘れたのは大失敗。それでもどうにかみんなで頭をひねってフィルター装置を作って淹れたコーヒーは、少々ぬるかったとは言え、神山の空気も手伝って香り麗しく美味しいものでした。

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秋か

 

 

 

 イベントごとなんかが先行してしまったり、取引先の事情があったり、自身の体調のことがあったりで、なかなか仕事が先に進まないというジレンマの夏だった。そのせいだろうか、サッカー代表のW杯出場が決まったと同時に暦は秋を告げようとしているのに、なんだか不意打ちを食らって置いてけぼりにされたような気分の秋の初め。

 

 そのジレンマのことはとりあえずどこかにうっちゃっておいて、明日からは荷物満載でまた出かけることにする。日曜日の津波カップの前にレスイズモア・タカハシと少しばかり遠出して、久しぶりに行くリザーバーでボートを浮かべるつもり。津波カップ後にはジーニョ夫婦と出かけついでにキャンプ(レスイズモア・タカハシは半ば強制的に連行)という贅沢な行程なのだ。

 

 肝心の津波カップも天気に恵まれそうだし、旧吉の状況は今年は上昇傾向だそうだし、それに久しぶりに会う人もいたりして、とても楽しみにしているところ。

 

 このところ不安定な体調に関しては不安がないでもないが、どういうわけか少し前よりすっきりした感がある。グルテンフリーのせいで不調なんじゃないの?なんていう意地悪な意見もないではないが、ここに来てようやく体が軽いことを実感してもいる。ダイエットしているつもりではないけれど、実際2ヶ月で5kgほど落ちてお腹周りもへっこんだことだし。

 

 

 それでも少しづつだけれど仕事は進む。この際もったいぶっていても仕方ないので、新作Catavento(カタヴェント)の新色を一気に見せてしまうことにした。塗り上がったプラグを組んでみて、初めてその完成形を俺自身も目撃することになるのが常で、その瞬間というのは時にえもいわれぬ感慨をもたらすもの。「ワオッ」今回のこの異様は俺にちょっとした感嘆の声を上げさせた。手前味噌ながらキテレツ具合が秀逸である。こいつら、今にもふわふわとどこかに漂っていきそうだ。

 

 

 今日リピートするのはカエターノ。70を超えたブラジルの大御所がまさに「挑む」という姿勢が勇気と元気を与えてくれるから、俺はこのアルバムが好きだ。音そのものだって若々しい。ロックといういわば古めかしい手法さえ瑞々しく響く。その異様あるいは威容に凄みと滋味を感じずにはいられない。

 

 アーティスト、いや人たるものこうあるべきだと、こうして偉人の音楽を聴きながら思い、そうなりたいと願う。津波ルアーズのユーザーにはスタイリッシュでそしてスマート、つまりはセンス良くあって欲しいと常々思っているのだけれど、それにはなおさら俺自身が襟を正すべきですね。

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好きであること

 

 最近買ったorSlowのコーデュロイのショーツ。最近流行りのクライミングパンツ風でもなければ機能素材でもない。おまけに車に乗るとiPhoneがポケットからとても取り出しづらい。それでも俺はこれがとても気に入っている。そもそもコーデュロイが好きで5ポケットが好き、サンドベージュ系のカラーも悪くなくサイズ感もシェイプも申し分ない・・・こうして欠点を補って余りあるSomething Niceがあるからだ。すると不思議なもので欠点さえ愛おしくなる。好きなものってそういうことだと思う。

 

 さてロッドの話。カラーリングとデザインに惚れ込んでModerno 53Hをご購入いただいた大坪くん、こんなにたくさんのSomething Niceを見つけてくれました。俺よりよっぽど的確にこのロッドの良さを伝えてもらっております。

 

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そうそう、本日は遅ればせながらに購入致しました Moderno 53Hを初めて使用したのですがこれが最高でした!ちょっとばかり使用感を・・・。

例えば現在盛り上がりをみせているNiva RantSweepy J DPあたりの 1.5oz 前後の重量系ルアー、これらを程良い感じの負荷で背負える(としか上手く表現できませんが)5フィート台のロッドってこれまでなかったと思うんです。

おそらくSukiyaki 56LCが5フィート台では一番強かったように思うのですが、それでも 1.5oz 前後となると若干無理してるかな?と、あくまで個人レベルでですが感じていました。

そういう意味合いにおいてこの Moderno 53HSukiyaki 56LCの次のパワーレンジを埋める稀有な存在であると同時に、実は Vickitan クラスから難なく放れる柔軟性、そしてカーボン 100% 特有の強さから、案外フロッグゲームにも十分対応可能なんじゃないか?という非常にバーサタイルな仕上がり。

さらに特筆すべきはそのパワーに対して意外なほど繊細なティップでしょうか。Sweepy J DPのような重量系ペンシルはキビキビ&ヌメヌメと、そしてNiva Rantのような重量系ダブルスイッシャーは器用に首振り&軽々と長短ジャークが可能と、いい意味で本当に意外性のある驚きのロッドでした。

元々アマゾン用に開発されたという話ですが、カヤックユーザーである自分的にはその取り回しの良い 5.3 フィートという絶妙なレングスとカーボン素材の軽さは何にも代え難く、パワーロッドを腕の延長のような感覚で振り回せる快感は今後もう病みつきになっちゃうだろうな、という予感アリアリです。

最後に。これだけ長々と書いてきてアレなんですが、このロッドを選んだ最大の理由(のひとつ)がそのカラーリングとデザインにあり、ということもきちんと付け加えさせて結びと致します。以上。

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 これくらい気に入ってもらえると作った甲斐があるってもの。

 

 トップウォーターの釣りって、ことに道具をその見てくれを含めて好きになってもらうことが大前提のスタイルだと思っている。だからルアーはもちろん道具に関しては機能以上に見た目やスタイルを重視してもいる。時には機能を犠牲にすることだってある。Moderno 53Hがそうだとは言わないが、それでもその構造をブランクスルーのグリップにするだとか、ガイドを最先端のものにするだとか、そういうことをすればもっと機能は向上するのかもしれないし・・・。

 

 その行為自体、あるいはスタイル自体が好きであれば、少々の不自由さはさして気にならないものだ。トップウォーターの釣りの場合、その不自由さ自体がスタイルでもある。例えばフライフィッシングのそれにも似て、効率や機能だけを追い求めないスローな部分が、大人にも好まれる理由だと思う。いくら釣れるからって、大して好きになれないルアーでは使う気になれないし、釣った気にもなれないのである。それは道具も洋服も同じ。話は飛んでしまったけれど。

 

 

 ところでここ数日、元木は家族と、そしてとある知人親子と徳島の実家で過ごすべく、お盆に続いて休暇をいただいておりました。ところがである。少々不調だった体をおして行ってみたはいいものの、ひどい頭痛と倦怠感がみるみるうちに現れ始めて、しまいには熱を出してしまう体たらく。知り合いの病院で点滴を受けて、坐薬を処方してもらい(坐薬はおそらく初めての経験。小さな頃にこれを挿入したことがあるようなないような。それにしてもこれって効く)、休み中ほとんど寝込んでいたのである。

 

 楽しみにしていた遊びは出来ないわ、息子を実家からどこへも連れ出せないわ、ついでにチケットを取ってあったサッカー観戦も出来ないわ、散々な休暇だった。おまけに知人には老人扱いされるし、嫁には謝らないといけないし、ろくなことがない。

 

 友人である医者曰く、どうやらこれって熱中症のよう。日向で長く作業したわけでもなければ、大汗かいて運動したわけでもないから、そうなる心当たりはあまりないのだけれど、それこそは熱中症であると実感したのである。皆様も油断なされぬよう。

 

 

 休暇からさらに一日のクッションをおいて事務所に来た俺を待ち受けていたのは、小包と請求書の入った封筒がいくつか、大量のメール(必要なものはそのうちのほんの僅かだけれど)とロス・スーパー・セブン。チカーノ的キューバンといった趣のレイドバックしたグルーブに溢れるロス・スーパー・セブンは、ストレスフルな環境に復帰する病み上がりの俺を唯一労ってくれるのだった。ちなみに3度ほどリピートしてしまったのである。

 

 

 とかなんとかやってるうちに津波カップは今週末。お申し込み締め切りは今週の水曜日、8月30日 20:00です。

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11年

 

 この日になると毎年思い出すのは火事のこと。11年前の今日、うちの工房は火災に見舞われた。去年はあれから10年だったので、あの日焼け残ったルアーブランクに絵を描いて発売したりもしたが、一部はこの通り手元に残してある。

 

 特に思い入れがあって大切に保管しているというわけでもないのだけれど、だからと言ってやっぱり捨てることも出来ないでいる。これを見るというと、生々しくあの災厄が脳裏によみがえるし、あの後長く体に染み付いて離れなかった焦げ臭ささえ漂ってきそうだ。それでもやっぱり取っておくというのは一体どういう心理なのだろう。

 

 二度と起こしたくはない災難ではあるものの、あれがなければあるいは今の俺はなかっただろうし、今の津波ルアーズもなかったのかもしれない。今は亡き親父があの時言ったようにあれは試練であり、なおかつ一つの転機であったことは確かだから。その証もしくは小さなルアーメーカーの一里塚として、これほど相応しいものもないのかなあとこれらルアーを見ながらふと思う。

 

 そうそう、ちなみに奇しくも、Fishing Safariを企画したバンバの誕生日は今日、そしてそれに参加したRottonの弟の方=シゲの息子はまさにこの日に生まれた。不思議と言えば不思議。

 

 

 そんな津波ルアーズが相も変わらず未だに新しいルアーを生み出し続けていることは、ほとんど奇跡と言っていいのかもしれない。それに、牛歩の如くではあっても少しづつは進化(あるいは退化)を遂げているという実感もあって、これはちょっとした感慨ではある。

 

 これからどうなっていくかなんてまるでわからないけれど、そんなわけで、あの時にも忘れることのなかったささやかな希望だけは持ち続けていようと誓う、あれから11年の今日なのです。

 

 

 今日は届いたばかりのウェス・モンゴメリーの未発表音源をバックにこれを書いていたのだけれど、そうするとウェスの他の音源が聴きたくなって、選んだのはミルト・ジャクソンとの共演盤。これに限らないが、この時代の黒人音楽って、やっぱりエネルギーがみなぎっていて希望に溢れたものだと感じる。もちろんそれは時代背景の裏返しかもしれないが、それでもそれが未だに我々に活力を与えることは不思議だけれど本当のこと。

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